半導体ガスセンサを用いて嗅覚代替可能なにおい検知システムを構築するための第1段階として、17種類の金属酸化物を添加したSnO_2系センサのアルキルアルコール(C_2〜C_6)ならびにアルキルアルデヒド(C_2〜C_8)に対する検知特性を調べた。ガス濃度は、300あるいは50ppmとし、いずれのガス種に対しても、動作温度400℃において比較的高い感度と優れた応答回復特性が得られた。 アルキルアルコールに対しては、In_2O_3、ZnO、NiO、CaOを添加したSnO_2素子が最も高い感度を示した。これらの素子の感度は、アルコールの炭素数の増加とともに単調に増加した。また、2級アルコールに対する感度は、1級アルコールに対するそれより低くなった。これらの素子の検知機構を調べるため、In_2O_3-、ZnO-、NiO-、CaO-SnO_2およびSnO_2単独試料を触媒とするエタノール酸化反応を行ったところ、酸化物添加系において酸化活性が高くなった。また、これらすべての触媒において反応中間体はアセトアルデヒドであり、エチレンはほとんど生成しなかった。これらのことから、感度増大の原因として酸化活性の向上およびアルデヒド経由の脱水素反応がおこること、の2点が挙げられる。 一方、アルキルアルデヒドに対しては、SrO、BaO、NiO、In_2O_3を添加したSnO_2素子が高い感度を示した。感度の炭素数依存性はやや特異的で、アセトアルデヒドからブチルアルデヒドまで感度は単調に増加するが、ヘキサナ-ルに対する感度は減少し、ヘプタナ-ル、オクタナ-ルと炭素数が増加するとともに再び感度は増加した。C_6〜C_8のアルキルアルデヒドは、食品や香料の香りに含まれる重要成分であり、これらのセンサは、食品や香料の分析や測定に利用できると考えられる。
|