研究概要 |
プロテアーゼはタンパク質を加水分解する酵素であるが、有機溶媒存在下では、ペプチドやエステルの合成反応を触媒することができる。しかし、一般に酵素は有機溶媒に不溶であり、しかも有機溶媒存在下では容易に変性、失活する。そこで、有機溶媒に安定なプロテアーゼを生産するスクリーニングを行ったところ、有機溶媒存在下でも生育し、有機溶媒に安定な酵素を生産するPseudomonas aeruginosa PST-01株を得た。P・ST-01株が生産するプロテアーゼ(PST-01プロテアーゼ)を精製し、SDS-PAGEで分析したところ、分子量約38,000のタンパク質であることがわかった。加水分解反応の至適pHは8.6、至適温度は55℃であり、65℃以下で非常に安定であった。種々の阻害剤を添加したときの活性測定により本酵素はメタルプロテアーゼであることがわかった。また、PST-01プロテアーゼの有機溶媒安定性を調べたところ、多くの有機溶媒存在下で非常に安定であり、特にアルコール等の水に溶ける有機溶媒を添加したときは、加えないときに比べて安定性が増大することがわかった。さらに、種々のペプチド合成を行った。Cbz-ArgとLeu-NH_2からCbz-Arg-Leu-NH_2の合成反応では、収率はCbz-Argの初濃度にはほとんど依存せず、Leu-NH_2の初濃度に大きく依存した。また、50%ジメチルホルムアミドもしくはジメチルスルホキシド存在下で収率は約80%に達した。さらに、pH7.0〜12.0で高い収率を示した。
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