1.研究目的 界面や表面などの極微小領域に存在する分子をレーザーを用いて高感度に計測し、界面の構造を明らかにすることを目的とした。 2.研究成果 レーザー非線形光学効果であるレーザー多光子イオン化法を用いて、溶液や固体表面の定量分析を行い、検出感度とシステムの最適化を行い、有益な知見を得た。 (1)装置の試作……超高感度電流・電荷計を購入し、システムを構築した。Nd;YAGの第3高調波光(355nm)を励起源とし、集光のための光学系を試作した。 (2)集光状態……レーザー光は、CCDカメラの実測で、約1μmまで集光したが、試料より発生する蛍光信号は、濃度換算で、約10nmol/Lであった。 (3)多光子イオン化……より高感度が望めるレーザー励起の2光子イオン化法を適用した。 (4)電極構造……電極は先端が1μmの微小化を達成し、印加電圧も10kV/cmとすることができた。 (5)最適レーザー密度……集光された状態で、120mJ/pulse/cm^2においてSN比が最も高く、試料の損傷もないことが分かった。 (6)検出感度……非極性溶媒中のアントラセン分子で、検出濃度は1nmol/L(検出分子個数で3fmol=百万個)の感度を得ることができた。 (7)固体試料……アントラセン分子の滴下膜において、3pmol/cm^2(検出分子個数で20fmol)の感度を得ることができた。この時の測定対象領域は、約1μm^2であった。 3.まとめ 検出分子個数では、まだまだ多いが、装置の最適化(電流計の安定化と印加電圧の増加)によりSN比は約6桁の向上が望めるので、単分子検出も可能である。同時に蛍光信号も測定することで、分子の高感度分析と、状態解析を試みる。
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