メチルエーテルに強塩基であるブチルリチウム-カリウムt-ブトキシド(Schlosser塩基)を作用させた場合にエチレンが発生する機構について、モデル反応としてメトキシメチルリチウムの二量化反応について理論計算を行った。 その結果、一方のメトキシメチルリチウムがもう片方のメトキシメチルリチウムの炭素-リチウム結合間にカルベノイドとして挿入しメトキシエチルリチウムが生成する機構が考えられた。生成したメトキシエチルリチウムは容易にリチウムメトキシドを放出し、エチレンが発生する。 発生したエチレンにメチルリチウムが付加する反応の活性化エネルギーは非常に高く、通常では非常に起こりにくい。しかし、Bartlettらによる報告では1級のアニオンではエチレンへの付加は全く起こらず、2級および3級のみしか反応は起こらない。現在、付加反応のモデルとしてイソプロピルリチウムのエチレンへの付加反応について理論計算を行っている。
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