本研究では光機能変換材料の結晶構造と構成元素を材料設計のパラメータとし、直接には制御不可能な材料中の量子力学的レベルでの現象を制御し、その結晶構造の属する空間群が対称中心をもたない高輝度発光材料を合成し、従来の発光材料としての特性に加え、電場、磁場といった外部因子により、発光は、透過、屈折といった誘電的特性を制御できるような、より光との相互作用に重点をおいた新規の酸化物の合成を目的とする。 現在までアルカリ土類金属、亜鉛-アルミニウム、ガリウム、インジウム系酸化物の合成を行い新規化合物の探索を行っている。酸化物、炭酸塩を出発原料とし固相反応により得られた試料を粉末X線回折法により測定、得られたデータを指数付けプログラム、原子座標決定プログラム、リ-トベルト法等を用いた結晶構造最適化プログラムを用いて解析を行い、結晶構造を同定している。具体的にはBa-Ca-Ga-O系酸化物が新規化合物であり、反転対称を持たない空間群Imm2に属していると考えられる。またBa-Sr-Ga-O系酸化物においても反転対称を持たない空間群P6_3に属すると考えられる新規化合物が合成され、両化合物ついて密度測定等による組成決定を行い、それぞれノ化合物の温度特性も含めた高温相、低温相の存在についても現在探索を行っている。
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