1.水酸アパタイト中のCa^<2+>をCo^<2+>、Ni^<2+>、Sn^<2+>、Sn^<2+>、ならびにPb^<2+>とイオン交換反応させ、これらのイオンの局所構造をX線吸収微細構造(XAFS)により調べた。XAFSのフーリエ変換を比較すると、Pb^<2+>だけがほぼ同じ構造を持つ鉛アパタイトよりも短い位置にピークが現れ、水酸アパタイト中のCa-O間距離と同じになった。このことは水酸アパタイトがPb^<2+>に対して高いイオン交換反応選択性を示すことと関係があると考えられるので、来年度でさらに詳細な解析を行う。 2.5A型ゼオライトのNa^+をAg^+とイオン交換し、真空加熱処理をしたものは窒素に対して特異的な吸着特性を示す。この要因を明らかにするため3種類のイオン交換率のAg交換5A型ゼオライトのAgK端旭FSの解析を行った。その結果、加熱前では水分子がAg^+に配位しているためAg-O間距離が長く配位数が2であるが、加熱することによりAg-O間距離が短くなり、また配位数が減少することがわかった。この配位数の減少はすでに報告されているようなAg^+-Ag^0のクラスタの生成を示していると考えられるが、一方でその減少率から一部のAg^+だけがクラスタを生成することも明らかになった。 3.ケイ酸カルシウム類の中では層状構造が比較的はっきりしており、局所構造とイオン交換特性の関係を調べるのに適した試料であるジャイロライト(Ca_8Si_<12>O_<30>(OH)_4・6H_2O)のRjetveld法で構造解析できる程度に結晶性のよい試料を得るため、合成条件について検討を行った。最も結晶性がよかったものは既報とは異なりCaとSiを化学量論比で混合し粉砕した後に24時間水熱合成したものであった。ただし、この条件でも結品性やイオン交換特性が充分ではないので、来年度にさらに合成条件を検討する。
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