チタノセンジクロリドをイソプロピルマグネシウムクロリドで還元して生じる、三価チタノセンクロリドにフェニルマグネシウムブロミドを作用させて調製したチタノセン錯体Cp_2TiPhが、分子内ケトン-ニトリルカップリング反応に有効であることを見いだし、The Seventh International Kyoto Conference on New Aspects of Organic Chemistry においてポスター発表、第74日本化学会春季年会で報告の予定。三価チタノセンクロリドはケトンに対し還元力を示さないが、上述の錯体はより強い還元カを有するうえ、ルイス酸性も併せ持つためシアノ基・エステル基の活性化に有効であり、シアノケトン・ケトエステルのラジカル環化反応によるα-ヒドロキシケトン合成が実現できた。このチタン錯体の特徴として、嵩高さとルイス酸性とが組合わさり、一般的に良いラジカル受容体であるオレフィンにはケチルラジカルの分子内付加は全く進行せず、通常受容体として機能しないシアノ基やエステル基に対しむしろ環化活性が見出された。この結果は速報として現在論文雑誌に投稿中である。 更に、上記チタノセン錯体前駆体としてCp_2Ti(Ph)Clを採用し、Cp_2Ti(Ph)Cl/Zn/Me_3SiCl触媒系によるピナコールカップリング反応の開発に成功し、現在、高立体選択的触媒反応系の実現を目指し、錯体配位子のアリール基を種々変更し、新規錯体の創出を検討している。
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