研究概要 |
リチウムエノラートのケイ素等価体であるα-リチウムシラエノラートとジエン、カルボニル化合物との反応を検討し、これらの反応がそれぞれ含ケイ素環状化合物とシリルエノールエーテルを高収率で与えることを見出した。 α-リチウムシラエノラートはジエンと-50℃で速やかに反応して6員環化合物をほぼ定量的に与えた。この環化付加物を室温まで暖めるとピーターソン型の脱離反応が進行して、1-シラシクロヘキサ-l,4-ジエンが生成した。これはさらにジエンと反応してシラデカリン型の2環式化合物に変換された。 一方、カルボニル化合物との反応は、α-リチウムシラエノラートのカルボニル炭素への求核攻撃から進行して、最終的にはα-リチウムシラエノラートとカルボニル化合物が1:2で反応したシリルエノールエーテルを与えた。α-水素を持つカルボニル化合物との反応では、α-リチウムシラエノラートは塩基として働き、α-水素の引き抜きが起こった。 その他、α-リチウムシラエノラートとアルケン、エノン、ニトリル、エステルなどとの反応、α-リチウムシラエノラートの金属交換反応も検討した。 各種のポリシランカルボン酸エステルとトリス(トリメチルシリル)シリルリチウムとの反応を検討し、これらからビス(シリル)ケトン、リチウムエステルエノラートのケイ素等価体などの興味深い含ケイ素活性中間体が生成することを確認した。今後、リチウムエステルエノラートのケイ素等価体の反応挙動の解明も1つの課題として取り組んでいく予定である。
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