ラングミュアーブロジェット(LB)法は有機分子を分子レベルで高度に配向・配列させ、ナノメートルオーダーで膜厚を制御することができる技術であり、次世代を担うナノテクノロジーのひとつとして期待されている.本研究では、レドックス機能を有する感光性高分子LB膜を作製し、フォトリソグラフィー法によりレドックス機能高分子LB膜の分子パターニングを試み、レドックス機能性LB膜の二次元平面制御の可能性を明らかにする.さらに、本法を用いてマイクロアレイ電極上に異なるレドックス種を二次元平面内でヘテロ接合したLB膜素子を構築し、電気化学的手法によりその機能発現を試みることを研究目的としている.以下に本年度得られた研究成果を示す. 1. 電子線描画によるパターニング 前年度の研究では光照射による感光性高分子LB膜のパターニングについて検討を行ったが、技術的な問題で解像度は0.75μmのline-and-spaceまでしか達成できなかった。そこで照射スポット径を0.1μmまで絞れる電子線描画装置を用いて描画したところ0.2μmのline-and-spaceの解像度が得られた。電子線に対する架橋感度は0.18μC/am^2となり、従来の電子線レジストに比べ高感度であることが示された. 2. 機能団を有する感光性高分子LB膜の作製 フェロセン及びピレン誘導体を有する感光性両親媒性高分子を調製し、その単分子膜挙動、及びLB膜のフォトパターニングに関する検討を行った。ピレン含有光架橋性高分子LB膜はフォトパターニングが可能であり、蛍光顕微鏡測定により、蛍光性物質の分子パターニングに成功した.ここではパターニングされたLB膜を可視化するために蛍光物質を用いたが他の機能性化合物を本感光性高分子LB膜へ導入することで機能性LB膜の面内制御が可能となることが示された。
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