研究概要 |
光反応性のユニットとして4-ビニル-α-メチルケイ皮酸誘導体に着目し、カルボキシル基をオキサゾリン環で保護したモノマー2-[1-(4-ビニルフェニル)-2-プロペニル]-4,4-ジメチル-2-オキサゾリン(1)を合成し、そのアニオン重合を試みた。1の重合は、α-メチルスチレンオリゴマーのカリウム塩を開始剤に用いてTHF中、-78°Cにおいて1時間以内で完結し、定量的にビニル重合した繰り返し単位を有するポリマーが得られた。ポリ(1)のGPC曲線は単峰性で、狭い分子量分布(Mw/Mn<1.1)を有することが明らかとなった。VPOより求めたポリ(1)の分子量の実測値は、モノマーと開始剤の比より求めた計算値とよく一致した。1の重合系に新たに1を再添加すると、定量的な開始効率で分子量の規制された分子量分布の狭いポストポリマーが得られた。以上の結果から、1の重合はリビング的に進行していることが確認された。1とイソプレン、スチレン、メタクリル酸tert-ブチルとのアニオン共重合によって設計通りの鎖長とセグメント比を有するブロック共重合体が合成できた。ポリ(1)の保護基であるオキサゾリン環は、酸性続いて塩基性条件下で加水分解することにより定量的に除去され、目的とする一次構造の明確なポリ(4-ビニル-α-メチル桂皮酸)を得ることに成功した。ポリ(1)またはポリ(メチル 4-ビニル-α-メチル桂皮酸)に紫外光を照射することにより、ビニレン基の[2+2]環化反応が進行し、架橋した不溶性のポリマーを高収率で与えた。両者のポリマーは新規の光反応性ポリマーとして興味が持たれる。
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