研究概要 |
1,3-プタジエン骨格の2-位にオルトエステル基であるトリエトキシメチル基を置換した2-トリエトキシメチル-1,3-プタジエンを合成し、そのラジカル重合挙動を検討した。ベンゼン中アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として重合を行うと、重合速度は開始剤濃度の0.53乗、モノマー濃度の1.56乗に比例し、全重合の活性化エネルギーは96kJ/molとなった。生成ポリマーは95%の1,4-E購造と5%の1,4-Z構造からなるが、tert-プチルメルカプタンを連鎖移動移動剤としたテロメリゼーションの結果から、その付加形式には1,4-付加と4,1-付加が混在することが示唆された。 このモノマーをM1、スチレン(St)、2-ビニルピリジン(2Vp)、イソプレン(Ip)、クロロプレン(Cp)をそれぞれコモノマーとしてラジカル共重合を行い、モノマー反応性比を求めたところ、(r_1,r_<St>)=(2.41,1.0)、(r_1,r2_<Vp>)=(0.64,1.35)、(r_1,r_<Ip>)=(0.86,1.0)、(r_1,r_<Cp>)=(0.17,7.01)となった。イソプレンとの共重合はほぼ理想共重合に近く、また、Q,e値はQ=1.23、e=-0.81となった。また、ニトロキシルラジカルを共存させることにより、リビングラジカル重合によるスチレンとのブロック共重合体も合成できた。 生成ポリマーのガラス転移温度はオルトエステルの状態で-21℃、カルボン酸エステルの状態で一24℃であったが、イソプレン及び2-ビニルピリジンとのランダム共重合体では、成分の重量分率に従って変化した。
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