研究概要 |
1、α位に様々なアルコキシメチル基、N,N-ジアルキルアミノメチル基およびアルキルチオメチル基を有するアクリル酸エステル誘導体を合成し、アニオン重合を行い、α位の置換基が立体制御に及ぼす効果について検討した。得られたポリマーは上記、置換基の種類によらず、いずれも高度にイソタクチックであり、さらにα位の官能基が、アニオン重合において立体制御に重要な役割をはたしていることが、明らかになった。 2、α位に2級のアミノメチル基を有するアクリル酸エステル誘導体を合成し、そのアニオン重合を行った。リチウムアミドなどの開始剤とアミノ基上の置換基を適切に選択することにより重合は進行し、活性プロトンを有する規則性ポリマーの合成に成功した。さらに本重合では、用いる重合溶媒の極性により、イソタクチックからシンジオタクチックに富むポリマーを合成することが可能であることが明らかとなった。 3、α位に光学活性なアルコキシメチル基およびN,N-ジアルキルアミノメチル基を有するアクリル酸エステル誘導体を合成し、アニオン重合を行った。得られたポリマーはいずれも高度にイソタクチックであった。また、生成ポリマーに何らかの不斉が誘起され、らせん構造等の形成の可能性もあることから、現在さらに検討を行っている。 4、α位に様々なかさ高いアルコキシメチル基を有するアクリル酸エステル誘導体を合成し、不斉アニオン重合を行い、α位の置換基のかさ高さがらせん構造等の高次構造制御に及ぼす効果について検討した。得られたポリマーはエーテル基のかさ高さによらず、いずれも高度にイソタクチックであった。しかし、いずれの場合にもその比旋光度は小さく、現在のところ、らせん構造等の高度な立体制御には至っていない。
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