研究概要 |
1. α-位に光学活性なアルコキシ基あるいは2級アミノ基を有するα-(アルコキシメチル)アクリル酸エステルおよびα-(アミノメチル)アクリル酸エステル誘導体を合成し、様々なアニオン重合開始剤を用いて重合を行ない、生成ポリマーの1次構造および2次構造制御の可能性について検討した。その結果、得られたポリマーはモノマーに比べ、いずれもかなり大きな旋光性を有していた。光学活性なα-(アルコキシメチル)アクリル酸エステルの重合についてより詳細な検討を行なった結果、ラジカル重合ではアタクチックなポリマーが、アニオン重合では、高度にイソタクチックなポリマーが得られること、(S)体及び(R)体のモノマーのアニオン共重合では、ランダム共重合体が生成し、また、光学活性なモノマーから得られたアニオン単独重合体及び共重合体の旋光性に関する分析結果から、高度にイソタクチックなポリマーには、光学活性基が立体特異的に配列することによる、新たな不斉が誘起されていることが明らかとなった。 2. 新規アクリル系モノマーとして、フェニル基上に種々の置換基を有するN,N-ジフェニルアクリルアミド誘導体をデザイン・合成し、光学活性な配位子と組み合わせたアニオン重合開始剤を用い、不斉重合を行なった。その結果、置換基が生成ポリマーの1次構造および2次構造の制御に大きな影響を与えることが明らかとなり、特に、N-フェニル-N-(4-トリル)アクリルアミドから得られたポリマーには、極めて高い比旋光度([α]_<365>=-1122゚)、及びイソタクチシチー(m=94%)を有するほぼ1方向巻のらせん構造を有すると考えられる光学活性ポリマーを含んでいることがわかった。
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