液体による表面のウェッティングやディウェッティングに関する研究に大きな関心が寄せられている。最近、本研究代表者はディウェッティングにより生じる固体基板上での高分子薄膜の破壊がランダムには起きないことを見い出し、高い規則性を持つメゾスコピックなネットワーク構造やパターン化したドット構造を形成することに成功した。本研究の目的は、これらメゾスコピックパターン形成に関するメカニズムの解明、形成された構造の固定化と安定化、さらにこの構造の機能化である。今年度に得られた成果を以下に示す。 1. 光機能性ポリマーであるポリへキシルチオフェンを用いたラインパターンを作製し、マイクロ電極を用いてライン1本の光電流を測定した。このラインには暗電流の他に、光電流も生じることを見出した。 2. 液晶性アゾベンゼンポリイオンコンプレックスを用いたドットパターンを作製した。アニーリングしたところドット中の液晶ドメイン構造はドットサイズに大きく依存することがわかった。極小ドット(直径:5マイクロメーター以下)では、ドメインが生じない。しかし、直径が5〜8マイクロメーターの場合、モノドメインを生じ、それ以上のサイズでは、マルチドメインを形成する。 3. ディスコティック液晶を形成するトリフェニレン誘導体は、六方晶形状のドットを生ずる。従って、円とは異なったドットの形を生ずる可能性がある。
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