高ひずみ下で材料の粘度が急激に上昇する″ひずみ硬化特性″は、材料の加工性に重要な関わりを持っているが、その機構は明らかでない。本研究は、材料中に含まれる微量の超分子量成分が果たす役割を実験的・理論的に明らかにすることを目的としている。本年度は、研究実施計画に沿って以下のような研究を行った。 1、溶媒キャスト法を用いて、微量の超高分子量成分を様々な濃度で均一に分散させたサンプルの作成を行った。溶媒や乾燥温度、乾燥時間などの実験条件の最適化を行った。 2、上記の材料を用いて一軸伸長粘度の測定を行い、超高分子量成分の濃度と分子量が、ひずみ硬化に与える影響について調べた。 3、ひずみ硬化における分子の運動を調べるため、からみあい効果をとりいれた高分子の粗視化モデルを構築した。これを用いたブラウニア・ダイナミクス・シミュレーションを行い、からみあいがひずみ効果に及ぼす影響を調べた。 4、上記の実験およびシミュレーションの結果を、高分子学会、日本レオロジー学会、分子シミュレーション研究会で発表した。実験の成果は、日本レオロジー学会誌上で発表した。シミュレーションの成果は、Molecular Simulation誌に投稿中である。
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