研究概要 |
有機電界発光(EL)素子は、平面かつ自発光型であり、比較的低電圧で駆動できることから、次世代のフラットパネルディスプレーとして期待され、現在盛んに研究が行われている。しかし、これらの素子の偏光特性については実用上も非常に重要であるのにも関わらず、まだ十分な検討がされていない。本研究は分子分散型有機EL素子の駆動電界による分子配向を利用して有機自発光素子の偏光特性を制御しようとするものである。有機EL素子の偏光特性測定用として、シリンドリカルプリズム上にITO透明電極をスパッタ法により作製し、その上に電子輸送材料である2,5-ビス(1-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール、クマリン6をドープしたポリビニルカルバゾール(PVCz)フィルムをスピンコート法により作製した。最後にMg:Agを真空蒸着し、電子注入電極とした。このシリンドリカルプリズムを回転ステージに載せ、ピンホールおよび偏光板を取り付けたフォトマルを用いてEL素子からの発光をステージを回転させながら測定した。基盤正面の角度を0°、真横からの角度を90°とした。 23Vの印加電圧を与えた場合は膜厚方向に偏光したEL光の強度が膜面内方向に偏光した光よりも強くなることが判明した。測定角度が0°近辺では発光の偏光異方性は殆ど観察されなかったが、-50°付近では2割程度あった。印加電圧が15V程度の時はEL素子の偏光異方性は観察されなかった。このEL光の異方性は色素の配向により誘起されていると思われる。
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