有機電界発光(EL)素子は、平面かつ自発光型であり、比較的低電圧で駆動できることから、次世代のフラットパネルディスプレーとして期待され、現在盛んに研究が行われている。しかし、これらの素子の偏光特性については実用上も非常に重要であるのにも関わらず、まだ十分な検討がされていない。本研究は分子分散型有機EL素子の駆動電界による分子配向を利用して有機自発光素子の偏光特性を制御しようとするものである。有機EL素子の偏光特性測定用として、シリンドリカルプリズムにITO透明電極をスパッタ法により作製し、その上にクマリン6をドープしたディスコティク液晶をスピンコート法により作製した。最後にMg:Agを真空蒸着し、電子注入電極とした。この膜中ではクマリン分子が面内配向していることが蛍光スペクトル測定により明らかになった。 シリンドリカルプリズムを回転ステージに載せ、ピンホールおよび偏光板を取り付けたフォトマルを用いてEL素子からの発光をステージを回転させながら測定した。基盤正面の角度を0°、真横からの角度を90°とした。その結果、膜面内方向に偏光したEL光の強度が膜厚方向に偏光した光よりも強くなることが判明した。このEL光の異方性は色素の配向により誘起されていると思われる。この基板を液晶転移温度以上まで加熱すると、液晶分子の凝集が起こり、EL光ならびに蛍光は消えた。
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