研究概要 |
本研究では,軌道上浮遊物体のテザ-を用いた捕獲法,即ち,回転安定性,遠心力,慣性力,テザ-の巻き付け摩擦力を利用して,重りのついたテザ-を浮遊物体に巻き付け,さらにその回転揺動をテザ-張力により抑制し捕獲する方法についての数値シミュレーションによる解析を行った.まず,テザ-の放出巻き込み部の全体的な力学を調べるために,運動の対称性を仮定した簡易5自由度モデルを作製した.その際,特に,テザ-の伸びきり時における運動不運続性の取り扱いに注意した.数値シミュレーションにより,基本的な挙動を確認した.次に,テザ-が物体に巻き込んでいく力学挙動を理解するために,問題を2次元に限定した3体問題を考察した.2体はテザ-で繋がれており,もう1体は回転する浮遊物体である.テザ-状態を張力状態とたるみ状態に,また,テザ-と物体間の摩擦,物体同士の衝突,テザ-を介した衝突などを考慮に入れた運動方程式を導出した.詳細な数値シミュレーションにより,摩擦・衝撃を伴うテザ-多体系の複雑な運動を整理した.特に,テザ-との摩擦により浮遊物体の回転運動量が他の物体の運動量に変換されていく現象を説明した.また,完全無線化を実現させた2体の空気浮上型2次元無重量ハードウエアシミュレータを用いたテザ-による浮遊物体回転揺動減衰のための予備的な実験を行い,貴重な知見を得た.
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