研究概要 |
1.衝撃波の壁面における反射において,まず入射衝撃波の進行方向が壁面に垂直で気体分子が壁面で鏡面反射する場合(同じ強さの衝撃波同士の正面衝突に対応)を,剛体球分子標準型ボルツマン方程式に基づき,高次精度時間積分法を用いて数値解析した.非定常ボルツマン方程式の時間に関して高次精度の数値計算を行うには,高精度の衝突項の計算が必要になるが,これには,先に開発した衝突積分の正確な計算法を用いた.上記数値計算により,他の非定常ボルツマン方程式の解法の精度を検証する際の基準となる結果が得られた.本研究ではこの結果(基準解)を用いて直接シミュレーション法の結果の有効性の検討も行った.シミュレーションの最終結果はばらつきを抑える為に理論的根拠のない平均化を行って得られる.比較的多数(1セルに数十個から数百個程度)の粒子を用いれば,その平均は,標準偏差が大きいにもかかわらず,基準解と良く一致するものの,現在実用計算に用いられている粒子数(1セルに数個程度)では,平均操作を施してもその結果は基準解と大きくずれる.これは,現在の希薄気体の実用計算に対する警告になる.また,シミュレーション法の時間に関する精度は一次精度であるが,衝突ステップで同じ粒子の2回以上の衝突を許すことで,全体の計算精度が大きく向上することも判った. 2.壁面が気体と同じ物質でできた凝縮相からなる場合に研究を進めた.すでに明らかにされている対応する半空間問題の定常解の解の性質によると,入射衝撃波の強さがある臨界値を超えると反射衝撃波が凝縮相に押し込められて上流に伝播しないことがわかる.この場合の剛体球分子ボルツマン方程式に基づく解析に着手し,直接シミュレーションを行った.
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