再突入空気力学において熱的・化学的に非平衡な流れ場を理解するために本研究では分光的手法を用いる。本研究で取り扱っている気体は数千〜数万度といった高温に熱せられるため肉眼で十分に捕らえられるほどの強い発光を伴う、この発光を分析することにより、どの様な条件でいかなる物質かどの程度存在するかを捕らえることが出来る。高エンタルピータイプの衝撃波管を用いITorr程度の窒素中に衝撃波マッハ数20程度の衝撃波を発生させ、その背後の発光分光を行なった。衝撃波マッハ数が20程度とそれほど高くないため、窒素分子の及び窒素分子イオンの発光が多く見られた。不純物(CN)が発光より捕らえられたがそれより6〜7ppmと比較的多く存在して入ることが分かった。また、この不純物を利用して平衡領域の温度を計算したところ不純物がない理論計算に比べ3割近く低い温度が見積もられた。不純物を生成する時にかなり多くのエネルギーが使われているものと考えられる。 また、衝撃波直後の非平衡度が強い領域においては振動温度に比べ回転温度がかなり高くなっていることが確認され、われわれが解析に用いている振動温度と回転温度を分離して考えなければならないとする2温度モデルあるいはそれ以上の多温度モデルの必要性を確認できた。残念なことは絶対強度測定までは行なえなかったことである。
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