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1 研究の目的
電気推進機は化学推進と比較して燃料消費量が少なく、実用衛星のみならず科学探査宇宙機においてもその有用性が実証されようとしている。しかし、これを宇宙機に搭載して実用に供するにはその他の宇宙機器との適合性を評価し、必要があれば改善しなくてはならない。本申請は、電気推進から放射される排気プラズマとマイクロ波電磁波の干渉を実験的および数値解析的に調査研究する。
2 実験的研究
現有する電気推進耐久試験装置(真空容器:内径2m、長さ5m)の端面に、同じく現有する電気推進の一種であるイオンスラスタを設置して、容器の長手方向にプラズマを噴射する。プラズマ下流の適当な箇所に各種プラズマプローブを挿入して電子温度、プラズマ密度、イオン電流密度、イオン種、電位分布を測定した。さらにこのプラズマビームに7〜8GHzのマイクロ波を透過させて、この時発生する電波の減衰および位相変化を測定した。イオンスラスタで発生するプラズマビームと実験で使用したXバンド帯のマイクロ波の組み合わせでは優位な干渉現象は観測できなかった。これにより近く運用が予定される宇宙科学探査ミッションでは問題なくイオンエンジンを利用できるものと予測される。
3 数値解析的研究
地上実験では発生出来るプラズマや使用できる実験空間、マイクロ波周波数に制限があり、宇宙で起こるであろう状況を完全には模擬することはできない。そこで実験室実験を補完するために数値解析を行った。ここでは「時間領域差分法」を用いて1次元、さらに2次元解析を行った。予備的な結果を得て、これを先に行った実験と比較調査した。
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