本年度は、以下の2つの点に重点を置いて実験・検討を行った。 一つは、変形しない多孔質媒体を代表する材料としてガラスビーズを用い、不混和な流体が媒体内を移動する条件、形態に関して基礎的なデータの収集を行った。その結果、非濡れ相である流体が媒体内に侵入していくために必要な過剰な圧力(しきい圧力)は、流体の流速に依存することが明らかになった。即ち、流体の流速が遅い場合には、しきい圧力は小さくなる。また、媒体内の移動の形態は、移動の営力の相対的な大きさの違いによってうまく表現できることがわかった。これらの営力としては、重力、界面張力、水理学的圧力があげられ、二つの無次元数を用いて移動の形態をうまく分離することが可能である。長期の流れを起こすような条件においては、しきい圧力は小さく、また、非濡れ相は小さい非濡れ相飽和率で移動しており、毛細管圧力による有効性という意味では、不利な結果となっている。 もう一つの実験は、購入した定流量シリンジポンプを用い、ベントナイトを用いた本実験を行うための予備的な実験を行った。材料としては、非膨潤性のカオリナイトを用い、実験室条件において想定している実験が行えるかどうか、また、どのような設定のときに、もっとも効果的にデータを得ることができるかを検討した。非常に透水性が低く、しきい圧力が高い材料を用いているために、個々の実験に非常に時間がかかり、この実験に関しての結論を得るまでにはいたっていないが、本年度の残りの時間と、来年度の前半の早い時期までに、実験条件を明らかにし、本実験に移る予定である。
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