研究概要 |
せん断変位の進行にともなう岩盤不連続面の変化,岩盤不連続面の開口幅分布および接触状態の変化についての基礎データを得,かみあった岩盤不連続面のせん断挙動を詳細に理解するため,白浜砂岩を割裂して作成した人工のかみ合った岩石不連続面に対し垂直応力一定の条件下でせん断試験を行った.せん断変位がピーク強度直前,ピーク強度直後,せん断変位1mm,せん断変位2mmに達した時点でせん断試験を終了し,これらの時点での不連続面表面形状の変化,不連続面の開口幅分布および接触状態の変化について不連続面の詳細な表面形状測定を行うことにより調べた.また,同条件でそれぞれのせん断変位までせん断した供試体をせん断後の状態を保持したまません断箱より取り出し,不連続面にアクリル樹脂を浸透充填して不連続面の断面形状を顕微鏡観察した.これらの結果,割裂して作成したかみ合った不連続面であっても平均で約0.1mm程度開口していることがわかった.また,不連続面表面プロファイル不規則波形とみなした場合,かみ合っている不連続面表面の凹凸周波数解析および顕微鏡観察結果から約0.5mm以上の波長のものであることがわかった.しかし,このように開口した不連続面もせん断によりピーク直前に達すると固くかみ合い,その開口幅は殆どなくなることがわかった.さらにピーク強度直後には不連続面が急激に開口し,残留強度状態では不連続面は,非常に限られた点でしか接触しておらず,その接触している特定の凹凸に沿ってせん断変位が進行し,それに伴い開口幅も増加していることがわかった.
|