研究概要 |
ディプロスポリ-によるアポミクシス率が既に明らかにされていること,さらに四季咲き性であることを考慮し、ニラ(Allium tuberosum)の栽培品種(花ニラ用)である'テンダーポール'およぴ'フラワーポール'を材料として選択した. まず両品種の単為発生胚形成開始期を特定するため,開花後の花器官の変化を形態的ならびに組織学的に観察した.両品種において、形態的観察から本種は雄性先熟であり,開花3日後から劇的な雌蕊の伸長や柱頭の成熟が確認された。またパラフィン切片による組織学的観察によっても、開花4〜5日後の未受粉花の胚珠内で分裂を開始した卯細胞が観察されたことから,開花3〜4日後に単為発生による胚形成が開始されていると判断し,本時期の胚珠をサンプルとした. この単為発生胚形成初期にのみ特異的に発環するmRNAを単離するために,開花直後の卵細胞を含有する胚珠および成熟胚としての種子胚を比較材料とし,供試した両品種においてこれら3ステージをサンプリングした.2品種3ステージの計6サンプルをそれぞれ200mg採取し、市販キットによりtotal RNA・mRNAの抽出を行った後、RT-PCR法によりmRNAを鋳型とし、cDNAの合成を行った。現在、得られたcDNAを鋳型とし、プライマーの選定を行っている。 来年度は有効なプライマーの選定の後、単為発生胚形成初期にのみ特異的に発現する遺伝子群の同定ならびにキャラクタライゼーションを行う予定である。
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