(1)新規台木の育成 台木数品種を組織培養法下に置き、コルヒチン処理を行なった。気孔のサイズにより一時スクリーニングをした後、根端の染色体数、フローサイトメトリーによる核内DNA量を無処理個体と比較し、明らかに4倍体になったもの3品種と、倍数体キメラ化した個体数種を得た。獲得した4倍体台木を大量増殖し、試験管内での生育と、根の形状について2倍体と比較したところ、4倍体台木では明らかに根が太く短い傾向があった。さらにこれらの台木としての特徴を早期に比較調査するための、栽培品種'巨峰'を穂木として試験管内接ぎ木(マイクログラフティング)の方法を検討した。また、次年度の実験に備えて、獲得した4倍体台木を多数鉢上げ馴化した。 (2)台木の根の生育特性、養水分供給能力の解析法の検討 台木の根系の発達と穂木の生育との関係を動的に捉えるために、まずは既存の栽培品種(2倍体)とその4倍性変異体を台木とし、同一の穂木品種を接ぎ木したものをモデルとして育成した。この接ぎ木苗において根の形態を35mmカメラで撮影しフィルムスキャナーでコンピューターに取り込み、画像解析ソフトを用いて根の長さ、直径を測定する手法を検討した。また、台木の吸水能力の測定のための、直径数mm程度の比較的細い茎で使える茎流センサーの作製を行った。次年度は、このセンサーを用いて、(1)で育成した台木の4倍体の吸水能力の測定を行う。
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