研究概要 |
(1)本年度は、まずアスバラガス栽培品種‘UC157F_1'内で雌雄性と分離のひずみの見られた2つのRAPDマーカーについて、当該品種を花粉親とした(Mary washington×UC157F_1)の単交配でえられた実生集団における雌雄性とバンドの出現との関係を調べた。その結果、2つのRAPDマーカーは実生集団で1:1に分離せず、これらのマーカーが単純なメンデル遺伝をしていないものと思われた。 (2)(1)で‘UC157F_1'内で雌雄性と分離のひずみの見られた2つのRAPDマーカーについて詳しく解析できなかったため、さらに多くのプライマーを使ったRAPDマ-か-をバルク法により検索するために、本年度行った複数の組み合わせの交配から得られた種子にカ-バメート処理を施して花成誘導を行い、雌雄性を明らかにした実生を栽培中である。現在、雌雄性を明らかにしたこれらの個体からDNA抽出をおこなっているところである。 (3)栽培アスパラガスについて、雌雄性以外の遺伝子座も含めた詳細な連鎖地図を作成するために、予備実験で多型の見られたアイソザイムについて遺伝性を調査し、これまでに5酵素、8遺伝子座を確認している。さらに、これらのアイソザイム遺伝子座間における連鎖分析も行っており、これまでに、Aat-1とMdh-1、Pgm-1とSkdh-1、Idh-1とAat-3の3組み合わせの連鎖(それぞれ、22,6,17cMの距離)を確認している。これまでの報告で、Mdh-1遺伝子座は雌雄性遺伝子座と約20cMで連鎖していることが知られており、今回Mdh-1との連鎖が確認されたAat-1遺伝子座が雌雄性遺伝子座と密接に連鎖している可能性がある。しかしながら、今回はAat-1と性表現との分離のひずみについて調査しなかったので、密接に連鎖しているのか、あるいは連鎖が検出できないのかは明らかに出来なかった。
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