本年度の成果を以下に列挙する。1)ホウ素変異株borl-1の変異遺伝子は第2番染色体の下方のある分子マーカーに非常に近い位置に存在することを明らかにし、この部分を含む配列を持つ人工酵母染色体を同定した。2)ホウ素変異株borl-1のホウ素の吸収を^<10>Bを用いて、様々なホウソ濃度範囲で詳細に検討したところ、野生型株と比べて広いホウ素濃度範囲で吸収速度が野生型株に比べて劣っていることを明らかにした。3)新規なホウ素要求性の高いシロイヌナズナ変異株を単離し、これまでに得られているborl-1変異株と同じ遺伝子座に変異を持つことを明らかにした。4)硫黄栄養条件で生長の劣る変異株を単離した。変異株で、花茎の伸長が硫黄欠乏条件でおさえられることが明らかになった。この表現型は遺伝子、戻し交雑第2世代では表現型の分離が見られることが明らかとなった。5)様々な程度の硫黄欠乏条件で、植物の様々な組織での、硫黄イオン、システイン、メチオニン、およびグルタチオンなどの硫黄化合物と、システイン合成の前駆体おO-アセチルセリンの含量の変動パターンを明らかにした。これとあわせて、硫黄栄養で制御されるダイズ種子貯蔵タンパク質βコングリシニンβサブユニット遺伝子プロモータの断片を含むカリフラワーモザイクウイルス35SRNAプロモータとの融合プロモータの発現制御パターン明らかにし、植物組織ごとに、硫黄栄養条件に応じた発現制御パターンが違っていることを明らかにした。
|