本年度は日本各地の各種土地利用下における土壌試料の採取とその窒素の形態別定量に関する予備試験を行った。土壌試料の採取は、年平均気温、降水量の異なる北海道、富山県、石川県、福井県、京都府、兵庫県の水田および畑で行い、30試料を集めた。また、土壌特性値に幅を持たせるために京都府北部丹後地方から造成農地土壌も同様に採取した。窒素の形態別定量については全窒素および可給態の無機窒素のついては定量が終わり、窒素無機化潜在量の評価を現在行っている最中である。全般的傾向としては、気温の違いを反映して微生物活性が低いと考えられる北海道で全窒素量が高く保たれていること、また窒素無機化潜在量は地域、土地利用で大きく異なることなどが明かとなりつつある。さらに造成農地土壌の結果との比較から、長期間にわたる農耕地としての土地利用は、無機能の可給態であるいわゆる化成肥料によらずに有機物主体で土壌が可給態窒素を供給できるようにする傾向のあることも示された。
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