1.人工気象器を用いて、トマト青枯病の発病性が、発病型土壌と発病抑止型土壌で明らかに異なる土壌水分含量、栽培温度、ならびに青枯病原細菌接種菌数を検討した。両土壌での発病株の割合が、それぞれほぼ100%とほぼ0%となる条件は、土壌水分含量pF1.8、栽培温度30℃、青枯病原細菌接種数約10^3cfu/g乾土であった。また、同じ温度・水分・接種菌数の条件の場合にも、用いる人工気象器の機種、ならびに接種の際の土壌水分含量により発病性が異なることも明らかになり、栽培条件はきわめて微妙な条件であることが考えられた。 2.発病抑止型土壌で栽培したトマト植物体では、発病型土壌で栽培したトマトと比較して、トマト根面、根内、ならびに地上部での青枯病原細菌の増殖が抑えられていることが明らかになった。 発病抑止型土壌ならびに発病型土壌で栽培したトマト根面から好気性細菌を培養・単離し、得られた菌体からDNAを抽出した。これより、16SrRNA遺伝子をPCR法により増幅後、2種類の制限酵素によるRFLPパターンを解析し、両根面における細菌群集構造を調べた。その結果、発病抑止型土壌のトマト根面細菌群集は、発病型土壌の根面細菌群集と比較して、多様な種類の細菌から成る集団であることが明らかになった。
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