研究概要 |
双子葉植物であるPhaseolus vulgarisにおいて、α-amylaseにアイソザイムは存在せず、発芽子葉と緑葉において同一の酵素が発現する。この同一のタンパク質が器官特異的な因子により異なる細胞内オルガネラに標的されている可能性を確認するために、まずPhaseolus vulgarisにおいてα-amylaseの細胞内局在性の確認と、発現制御の観点から遺伝子のクローニングを行った。 (1)Phaseolus vulgarisにおける細胞内局在性の確認:Phaseolus vulgaris緑葉および発芽子葉における酵素の細胞内局在性を明らかにすることを目的に、ショ糖密度勾配法を用いた細胞内器官分画を行った。これにより、本酵素は子葉においてはプラスチド画分にあることが示唆され、一方緑葉においては少なくとも葉緑体画分に酵素は検出されなかった。さらに明確にするために、金コロイドによる免疫電子顕微鏡像を作製する。抗体を調製した。 (2)Arabidopsis形質転換法の確立:Arabidopsisの形質転換(減圧浸潤法)をpB/121を用いて行った。また、pB/121上のGUSのN型糖鎖付加配列(-)の変異体GUS N356Sをレポーターに持つpB/124を創出した。これを用いて、本酵素上の器官特異的細胞内局在性因子を解析する。 (3)α-Amylase遺伝子のクローニング:P.vulgaris α-amylase遺伝子を単離した。本遺伝子は植物α-amylaseに共通の4エキソン-3イントロン構造をもつ。転写開始点はATG開始コドンの上流33nt。主な推定シス因子を示す。TATAbox(-31),pyrimidine box(-361),イネ、オオムギ、コムギα-amylase遺伝子間で認められたコンセンサス配列TACAAGA様配列(-1364,-1608)。
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