研究概要 |
1,糸状菌CCAAT結合蛋白質の精製とその遺伝子の取得; 糸状菌A.nidulansの核内に存在するAnCPの精製法を再点検し、よリ回収率のよい条件の検討を行った。DNAアフィニティー精製法およびSDS-PAGEより蛋白質を回収・再生させる方法を用いることにより、最終的に約200倍の精製に成功した。しかしながら、その遺伝子の取得には至らなかった。ゲル濾過実験およびSDS-PAGEより蛋白質を回収・再生させる実験よリ、本因子が分子量約30kのサブユニットよりなる約120kのホモあるいはへテロマルチマ-であることが明かとなった。酵母のCCAAT結合因子HAPのサブユニットをコードするHAP3遺伝子と相同性の高いhapC遺伝子が、オーストラリアのHynes博士らのグループによリ偶然に取得された。同グループと共同でhapC遺伝子をもとにリコンビナント蛋白質を作製し解析を行ったところ、HAPCがAnCPのサブユニットであることが明かとなった。以上の結果より、A.nidulans のCCAAT結合因子AnCPは酵母HAP複合体ファミリーに属する転写促進因子であることが強く示唆されえた。 2,デンプン応答エレメント及びその結合因子の解析; シス領域の解析の過程でCCAAT配列よりもさらに下流にデンプンによるTAAの誘導に関わるシスエレメントの存在が示唆されていた。タカアミラーゼAプロモーターの上流欠失変異の解析より、転写開始点上流の-214から-202の間の領域にデンプン応答に必要なシスエレメントの存在することが示唆された。また、ゲルシフト法およびDNaseIフットプリント法による解析から、さらにその下流の領域(-197から-174)に結合する因子の存在が示された。
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