研究概要 |
糸状菌CCAAV結合蛋白質の精製とその遺伝子の取得;糸状菌A.nidulansの核内に存在するAnCPの精製法を再点検し、より回収率のよい条件の検討を行った。DNA最終的に約200倍の精製に成功した。酵母のCCAAT結合因子HAPのサブユニットをコードするHAP3遺伝子と相同性の高いhapC遺伝子が、オーストラリアのHynes博士らのグループにより偶然に取得された。同グループと共同でhapC遺伝子をもとにリコンビナント蛋白質を作製し解析を行ったところ、HAPCが,AnCPのサブユニットであることが明かとなった。AnCPは酵母HAP複合体ファミリーに属する転写促進因子であることが強く示唆された。 デンプン応答エレメント及びその結合因子の解析;シス領域の解析の過程でCCAAT配列よりもさらに下流にデンプンによるTAAの誘導に関わるシスエレメントの存在が示唆されていた。タカアミラーゼAプロモーターの上流欠失変異の解析より、転写開始点上流の-214から-202の間の領域にデンプン応答に必要なシスエレメントの存在することが示唆された。また、ゲルシフト法およびDNaseIフットプリント法による解析から、さらにその下流の領域(-197から-174)に結合する因子の存在が示された。 AnCP遺伝子の解析;HAPC以外のサブユニットHAPB,HAPEについても、大腸菌内で過剰発現に成功し、精製したりコンビナントタンパク質を用いて、CCAAT配列結合タンパク質の再構成に成功した。細胞内の局在、AnCPと相互作用する因子に関しても検討を行なったが、明瞭な結果を得るには至らなかった。転写制御因子の利用;転写因子の利用に関しては、詳細な結果を出すには至らなかった。
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