研究概要 |
真核細胞である酵母Saccharomyces cerevisiaeと原核細胞であるEscherichia coliの両細胞で誘導発現機能を有するプロモーターUPR-ICLについて、以下の解析を行った。UPR-ICL中のS.cerevisiae内で機能する配列(region A1、A2)とE.coli内で機能する配列(region B)を限定した。また、それぞれを単独にTATA box-lacZ fusion geneの上流に置いた結果、A1、A2はS.cerevisiae内で、BはE.coli内で単独で炭素源に応答して遺伝子発現を制御した。既知の制御因子の遺伝子破壊株を作製することにより、A1を介した情報伝達系はSnflp、Mig1pに依存しており、Cat8pに依存していなかったことが明かとなった。これに対して、A2を介した情報伝達系はSnflp、Cat8p依存型でMig1p非依存型であり、A1,A2はそれぞれ独立した情報伝達系に制御されていることが判明した。 遺伝学的なアプローチとしては、UPR-ICL-lacZ fusion geneを導入したS.cerevisiaeがX-GALを含むグルコース寒天培地で白色、酢酸寒天培地で青色のコロニーを形成することを利用して、UPR-ICLが機能しない変異株を数種単離した。その中の1つの株について、野生型のゲノムDNAライブラリーを導入することにより、その相補遺伝子を取得することができた。現在、この相補遺伝子の構造解析を進めており、平成10年度ではその発現産物の機能解析を行う予定である。
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