糸状菌Aspergillus terreus GP1株のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(FAOD)のcDNAを大腸菌用高発現ベクターpKK223-3に導入し、FAOD高発現系を構築した。その結果、元株の30倍程度の生産性が得られた。FAODのC末端にはペルオキシソーム移行シグナルであるPTS1が存在するが、メタノール酵母Candida boidinii内で発現させたとき、FAODはペルオキシソームへ移行した。FAOD発現においてペルオキシソーム内の空間的な問題を回避するため、Candida boidiniiアルコールオキシダーゼ欠損株を用いてFAODを発現させたところその活性は2〜3倍に上昇した。 FAODの活性中心に存在するシステイン残基(C334、C336)の役割を調べるために両システインに部位特異的変異を導入しセリンに置換した。C334SおよびC336S変異体はいずれも活性を示さず、両システインは活性発現に重要な残基であることが予想された。またC334S変異体をFADと共に30分間インキュベートすると若干の活性の回復が見られたが、C336S変異体にはそのような活性の回復は見られなかった。またC336S変異体は補酵素であるFADを欠損していた。リジルエンドペプチダーゼ処理によりFAODのフラビンペプチドを精製し、FADの結合サイトを同定したところC277であることが分かった。これらの知見を元に現在FAODの機能改変について検討進めている。
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