研究概要 |
本申請者は,化石燃料中の環境汚染源物質である有機硫黄化合物のモデル、ジベンゾチオフェン(DBT)を脱硫し、末端代謝産物として2-ヒドキシビフェニル(2-HBP)を生成する細菌Rhodococcus enythropolisD-1株が生産するDBT脱硫酵素系について研究を行っている。この酵素系は3段階からなっているが、本年度はその2段階目であるDBTスルホンから2'-ヒドロキシビフェミル-2-スルフィン酸への反応を触媒するDBTスルホンオキシゲナーゼを精製し、その諸性質を明らかにした。 R.erythropolisD-1をDBTを単一硫黄源とする培地で培養し、得られた菌体から各種クロマトグラフィーにより本酵素を電気泳動的に均一にまで精製した。本酵素活性の発現にはFMN存在下でNADHを還元するレダクターゼが必要であった。このレダクターゼ成分については同菌株より部分精製したものを使用した。本酵素のサブユニット分子量は50kDa、同一サブユニットからなる2量体構造を有していた。本酵素活性はSH試薬や金属キレーターで阻害されたほか、2-HBPやその誘導体で阻害されたが、硫酸イオン,亜硫酸イオンでは阻害されなかった。また、本酵素が2'-ヒドロキシビフェニル-2-スルホン酸が分子内エステル結合して環化した化合物に対して作用し、2,2'-ジヒドロキシビフェニルが生成することを明らかにした。
|