Pseudomonas maltophilaよりN-アシル-L-アミノ酸アミドヒドロラーゼを電気泳動的に均一に精製し、その諸性質を明らかにした。特に、本酵素は従来から知られているN-アシル-L-アミノ酸アミドヒドロラーゼと比較して、アセトンなどの有機溶媒に高い耐性を持つ、反応生成物のひとつである酢酸によって安定化される、および、N-アシル-L-α-アミノスベリン酸に対して高い活性を示す等の特性を示すことから、代謝性骨疾患の治療薬、エルカトニンの原材料であるL-α-アミノスベリン酸の工業的光学分割生産に有用であることが明らかになった。現在、本酵素遺伝子のクローニング方法を関して検討中である。 Alcaligenes属細菌A-6株の3種類のN-アシル-Dアミノ酸アミドヒドロラーゼ、すなわち、D-アミノアシラーゼ、N-アシル-Dアスパラギン酸アミドヒドロラーゼおよびN-アシル-D-グルタミン酸アミドヒドロラーゼの構造と機能に関して、D-アミノアシラーゼを中心に各種変異酵素を作成し、それら変異酵素の反応速度論的解析から67番目と250番目のヒスチジンが触媒発現に、69番目のヒスチジンが構造維持に必須であることを明らかにした。また、3種類のN-アシル-D-アミノ酸アミドヒドロラーゼのX-線結晶解析用の結晶化条件について、現在、種々の方法を用いて再検討しており、X-線結晶解析により適した結晶の作成を行う予定である。
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