スレオニンアルドラーゼは、β-ヒドロキシ-α-アミノ酸を分解して、グリシンとアルデヒドを生成する反応、及びその逆反応を触媒する。本研究では、医薬品及び医薬品原料であるβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸の立体選択的酵素合成方法の開発の一環として、Pseudomonas sp.NCIMB 10558とSaccharomyces cerevisiae由来の低基質特異性L-スレオニンアルドラーゼ遺伝子及びArthrobacter sp.DK-38のD-スレオニンアルドラーゼ遺伝子の取得と解析を行った。D-スレオニンアルドラーゼを野生菌株から高度に精製し、N-末端アミノ酸配列を決定した。本配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドプローブを用いてArthrobacterのgenomic DNAライブラリーをハイブリダイゼーションを行い、D-スレオニンアルドラーゼ活性を有するクローンを単離した。一次構造解析の結果、本酵素は既知酵素との相同性は認められなく、新規酵素であると判明した。同様に、Pseudomonas sp.NCIMB 10558とSaccharomyces cerevisiae由来の低基質特異性L-スレオニンアルドラーゼ遺伝子のクローニング、一次構造の解明、大量発現系の構築にも成功した。又は、化学修飾及び部位特異的変異手法の組み合わせによって、D-スレオニンアルドラーゼとL-スレオニンアルドラーゼの活性中心のリジン残基を同定した。
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