アフリカツメガエルTFIIEはαとβの2つのサブユニットからなっており、それぞれについて平成9年度の進行状況を以下に記す。αサブユニットについては、大腸菌発現ベクターpET15bへPCR法にてサブクローニングした。得られた構築体はDye terminator法による塩基配列決定で目的とするものであることを確認した。BL21(DE3)並びにBL21(DE3)pLysSを形質転換し、発現を試みた。予想される大きさの蛋白質が得られたので、ニッケルカラム等で精製し、現在大量調整精製中である。一方TFIIEβサブユニットについても同様に発現体の構築を試みたが、βサブユニットが部分フラグメントでしか得られておらず、未だ全配列の発現構築体を得るに至っていない。以上のように当初の計画に対して遅れが生じているため、ヒトTFIIE蛋白質並びにそれら抗体を用いて実験を行った。まず、大阪大学大熊先生からのヒトTFIIEα並びにβヒト抗体によるウエスタンブロティングから、ヒトTFIIEα並びにβ抗体はアフリカツメガエルTFIIEのそれらを認識すると考えられた。そのため、ヒトTFIIE抗体で紫外線損傷プラスミドpSP65に対するDNAの修復をアフリカツメガエル卵母細胞DNA修復系で試みたところ、ヒトTFIIE抗体は紫外線損傷したDNAの修復を阻害した。そのため、TFIIE蛋白質はDNA修復に何らかのかたちで関与している可能性が考えられる。平成10年度は、ヒトTFIIE抗体を用いて、アフリカツメガエル卵母細胞によるDNA修復(主としてヌクレオチド除去修復)について詳細な解析を行う予定である。
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