研究概要 |
底性渦鞭毛藻Ostreopsis.siamensisの大量培養を行い、600L相当の培養論体から主要有毒成分としてオストレオシンDを約6mg単離した。_1H-_1H COSY、HSQC-TOCSYなどの詳細な2次元NMRスペクトルの解析、およびESIMSのフラグメンテーションのパターンから、オストレオシンDがパリトキシンの単純な脱メチル、脱水酸基体ではなく、水酸基の結合位置が異なる類縁体であることを明らかとした。その結果、オストレオシンDの構造は、パリトキシンの3位と26位のメチル基および、18位と44位の水酸基が水素に置換し、42位が水酸基化された構造と推定し、分子量が2500を越える巨大分子の構造決定に成功した。さらに、微量成分として、0.1mg単離したオストレオシンBの構造をマススペクトルとNMRスペクトルの解析により、オストレオシンDの44位が水酸基である構造と推定した。 昨年度確立したNMRとFAB CID MS/MSを相補的に組み合わせた新規構造決定手法を応用し、アイルランドで発生した新規貝毒原因物質アザスピロ酸、強力な肝臓毒性を有する下痢性貝毒成分の一つであるペクテノトキシン,の新規類縁体ペクテノトキシン-2セコ酸およびイエッソトキシンの1位硫酸基が水酸基に置換した1-デスルフォイエッソトキシンの構造決定に成功した。
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