研究概要 |
実験動物はC57BL/6J系統マウスを用いた.行動学的研究から,このマウスは,デナトニウムは300μM,キニ-ネは50μMの濃度以上になると非常に忌避する,つまり感知している.うま味に関しては1mM以上のグルタミン酸を感知し,またグアニン酸などのヌクレオチドによってその感知強度が増強される相乗効果を示すことがわかっている.苦味-パッチクランプ法によって生理的条件下におけるキニ-ネ,デナトニウムで味細胞応答時に起こる膜電流と膜電位変化を記録した。平行してクエンチフロー法によって初期応答に見られるcAMP・IP_3の生成量を測定した.デナトニウム・キニ-ネ両刺激においてIP_3の増加が見られたが,cAMPの変化は見られなかった.また,電位固定下におけるキニ-ネ・デナトニウム応答パターンが異なることがわかった.うま味一味物質はグルタミン酸10mMと代謝型グルタミン酸受容体4型のアゴニストのL-AP4を1mMの濃度で用いた。電位固定下においてグルタミン酸応答には3種類の応答パターンが見られたが,L-AP4に対しては1種類の応答だけが見られた.グルタミン酸応答における一過性内向き応答はチヤネルの開口であり,流通イオンはカルシウムイオンがメインであることが明らかになった.また,L-AP4応答における外向き応答はチヤネルのブロックであることがわかった.グルタミン酸応答においてみられた外向き応答はチヤネルのブロックであり,L-AP4応答における外向きの応答と類似していることが明らかになった.
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