1. シシトウ抽出物から各種クロマトグラフィーによりカプシアノシドA-Fを精製した。 2. カプシアノシドFはヒト腸管由来培養細胞株であるCaco-2のタイトジャンクション(TJ)における透過性を上昇させるが、カプシアノシドCは有意な活性を示さない。そこで、両者の活性の違いを説明するために、Caco-2細胞層への各カプシアノシドの取り込みの違いを調べた。Caco-2細胞層を各カプシアノシドで処理し、細胞層をリンスした後、細胞層に取り込まれたカプシアノシドをメタノールにより抽出し、ODSカラムを用いた逆相HPLCにより定量した。その結果、高活性体であるカプシアノシドFは、カプシアノシドCの4倍以上細胞層に取り込まれていることが示された。従って、カプシアノシドは細胞層に取り込まれTJ透過性上昇活性を発現することが示唆された。 3. 表面張力計を用いてカプシアノシドA-Fの界面活性を測定し、TJ透過性上昇活性との相関を調べた。その結果、両者には相関が認められた。しかし、これまでの研究結果より、カプシアノシドの活性の機構はSDSなどによる透過性上昇活性とは異なるものと考えられるので、カプシアノシドの界面活性は、細胞への取り込み易さに影響を及ぼし、それに伴いTJ透過性上昇活性の増大が認められたものと考えられる。 4. カプシアノシドが、培養細胞だけでなく、腸管においてもその活性を示すか検討した。ラット小腸粘膜層をユッシングチャンバーにセットし、電気生理学的手法によりTJの透過性を測定した。その結果、カプシアノシド処理によりTJ透過性は濃度依存的に上昇し、また、培地中からカプシアノシドを取り除くことにより速やかに回復した。更に、ラット大腸粘膜層を用いた実験においても同様の結果が得られた。従って、カプシアノシドは広く腸管上皮細胞の透過性を調節するものと期待された。
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