マウス回腸から上皮細胞を単離し、[3H]タウロコール酸の取り込みを測定した。取り込みはNa^+に依存し、飽和速度論に一致した。取り込みのK_mおよびV_<max>はそれぞれ27μMと0.36pmol/mg protein/minであった。 ラットのileal Na^+-dependent bile acid transporter(ISBT)のcDNA塩基配列をもとに設計したプライマーを用いて、マウス回腸total RNAのRT-PCRを行い、プローブを増幅した。このプローブを用いてマウス回腸cDNAライブラリをスクリーニングしたところ、348アミノ酸からなるタンパク質をコードするcDNAが単離された。cDNAのコードするタンパク質は、3つのN-結合型糖鎖付加部位を有し、またKyte-Doolittle hydrophobicity plotを行うと7つの疎水性ピークが検出された。予想されるアミノ酸配列は、すでに報告されている他の動物のISBT cDNAと高い相同性を示した。このcDNAをつないだ発現ベクターを培養細胞に導入すると、Na^+に依存した[3H]タウロコール酸取り込み活性を発現した。この取り込みは飽和速度論に一致し、K_mは34μMであった。このK_m値はマウス回腸上皮細胞で観察された[3H]タウロコール酸取り込みのK_m値と近似していることから、単離したcDNAはマウス回腸においてNa^+に依存した胆汁酸取り込みを行っているトランスポーター本体のものであると考えられる。
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