研究概要 |
本研究の最終目的は,任意の施業に対応した林木の成長,材質および林内光環境の予測が可能なシステム収穫表の作成であり,今年度は枝下高推定モデルの検証と林内光環境推定モデルの構築を目的に研究を行った。 まず,スギ人工林を対象に,林齢がばらつくように合計50個のプロットを選定し,樹高,胸高直径,枝下高,樹冠幅を測定した。解析の結果,樹冠形状比(樹冠長/樹冠幅)の林齢による差異はみられず,平均樹高,立木密度および樹冠形状比の3因子から比較的良い精度で林分平均枝下高が推定できることがわかった。 次に,デジタルカメラを用いて撮影された全天空写真から林内相対照度(天空率)を推定する画像解析システムを構築した。フィルムカメラを用いた場合の画像処理では対象領域である全天空域(円)を手動で選択する必要があったが。デジタルカメラ用いた場合には画像全体における全天空域の位置が一定であることから,対象領域選択の自動化が可能であることがわかった。また,Otsuの方法を用いて二値化処理の自動化を試みた。その結果,曇天下で撮影した画像を用いた場合,手動2値化画像から推定された天空率と自動2値化画像からの値とは,ほぼ等しいことがわかった。これらの結果から,自動画像処理システムを完成させた。ハードウェアはマッキントッシュであり,画像入力から領域選択までの処理はPhotoshopのバッチ機能を,2値化から天空率算出までの処理はNIH-Imageのマクロ機能を使って自動化した。
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