研究概要 |
九州大学農学部附属福岡演習林内ヒノキ帯状皆伐区において,保残列と伐採後植栽列の林分調査を実施した.林齢は保残列が81年生,植栽列が30年生となっている.林分調査は皆伐帯輻が異なるようにラインプロットを設定し,樹高および胸高直径の測定を行った.解析は植栽列を中央部と林縁部にわけ.地位指数曲線上で地位指数に変換後,保残列の地位指数と比較し,分散分析により検討した.また,形状比(樹高/胸高直径)を用いた樹幹形状の比較も行った. その結果として.次の知見が得られた.1)植栽列中心部(3列)と保残列の地位指数を比較したところ,列状伐区内植栽列の地位指数の方が高いことがわかった.2)植栽列林縁部と保残列との間には地位指数に差は見られなかった.3)植栽列と保残列の形状比には明らかな差が認められ,同齢の通常施業林分の値(0.65前後)と比較して,約0.1〜0.2程度高くなることがわかった.4)帯状皆伐区の列幅を10mから26mまで設定したが,列輻による地位指数に差は認められなかった.しかし,列幅が大きくなるに従って,形状比が小さくなる傾向が認められた. 以上のことは林地生産力を左右する風の影響であると推察され,防風林の効果とほぼ同様であると考えられた.このことから,林地生産力が林分の隣接条件により変化する可能性があることが示唆された.上記の内容は第53回日本林学会九州支部大会で発表し,現在投稿準備中である.
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