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1997 年度 実績報告書

水蒸気前処理による圧縮木材の寸法安定化

研究課題

研究課題/領域番号 09760159
研究機関京都大学

研究代表者

井上 雅文  京都大学, 木質科学研究所, 助手 (20263155)

キーワード木材 / 水蒸気 / 前処理 / 圧縮 / 寸法安定化 / SEM / 応力暖和 / クリープ
研究概要

本研究は、加熱処理に関する研究から得られた成果を応用し、水蒸気前処理によって変形の固定を試み、さらに、本処理を連続式ロールプレスを用いた実用的生産に適応するための基礎的研究を行うものである。今年度の研究では、特に、水蒸気前処理による圧縮木材の寸法安定化について実験を行い、処理条件を確立すると同時に、処理材の顕微鏡観察、横圧縮試験、粘弾性実験によってその機能発現のメカニズムを考察した。
水蒸気前処理温度、時間の増加に従い、回復度が低下し、10分間の処理では、210〜220℃の処理で、変形はほぼ固定された。変形回復抑制効果と処理による重量減少率との間に明確な相関関係が確認された。横圧縮試験およびそれに引き続く応力緩和試験から、水蒸気前処理の程度が増すに従い、木材の横圧縮性が増加することが確認された。処理材を電子顕微鏡観察したところ、180℃以上で処理試験片の一部で、木材細胞壁の切断、はく離などの細胞構造の破壊が確認された。クリープおよびクリープ回復試験から、処理条件の増加に従い、木材の流動成分が増加することが確認された。以上の結果から、水蒸気前処理による圧縮木材の寸法安定化のメカニズムは、処理によってミクロフィブリルが低分子化し、木材が脆弱となるため、細胞壁は大変形に伴って塑性破壊を受けやすくなること、マトッリクス成分の三次元架橋によるネットワーク構造の一部崩壊によって、木材成分の粘性流動が増加することなどであると考えられた。

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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