研究概要 |
1.天然からスクリーニングした難分解性の塩素化化合物の分解能の高い菌、3種による2,4,8-トリクロロジベンゾフラン(2,4,8-TCDF)の微生物分解を行った結果、3種の菌全てにおいて2,4,8-TCDFを11.9%〜72.8%分解することができた。0.25mMの2,4,8-TCDFを添加した場合、30日間の培養で最高の分解率は最高72.8%であった。また、2,4,8-TCDFは培養中に菌体中に取り込まれていた。そこで、分解率と菌体への取り込み率を併せて除去率とした。0.25mMの2,4,8-TCDFを添加した場合、27〜76%が培養液中から除去された。計画では2,4,8-トリクロロジベンゾダイオキシンも微生物分解する予定であったが、合成した2,4,8-トリクロロジベンゾダイオキシンの昇華性が極めて高いため常温で行う実験は危険と考え今回は行わなかった。(従って 3.については対策を検討中) 2.天然からスクリーニングした3種の菌による2,4,8-TCDF分解率とリグニンペルオキシダーゼ(Lip)活性には相関関係があり、2,4,8-TCDFの分解初期に関与しているものと考えられた。そこで、Lipの分離精製を行った。天然からスクリーニングした難分解性の塩素化化合物の分解能の最も高かった菌からの菌体外粗酵素をDEAE-Biogel Aで分離精製を行った。Lip活性の高いフラクションについて2回DEAE-Biogel Aで分離精製を繰り返し行った。得られたLip活性の高い酵素液で、0.25mMの2,4,8-TCDFの分解を行った結果、3時間の反応で49.7%除去することができた。このことから2,4,8-TCDFの分解初期にLipが大きく関与していることが明らかとなった 4.天然からスクリーニングした難分解性の塩素化化合物の分解能の高い菌2種とPhanerochaete chrysosporium(p.c.)を細胞融合した。その結果、4種の難分解性の塩素化化合物の分解能の高い融合菌を得た。現在、これらの菌と2,7-ジクロロジベンゾ-p-ダイオキシンの分解率、それぞれの菌のLip活性について検討中。 (各項目の番号は、交付申請書の本年度の研究実施計画に対応する。)
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