研究概要 |
本研究での使用が考えられる酸化鉄微粒子は粒子経2.8μmのDynal社のものと粒子経1μmのBioMag社の製品があり、初めに双方のビーズの比較検討を行った。その結果、BioMag社の製品でより良好な結果を得たので、以後の実験にはBioMagビーズを使用する事とした。初めにストレプトアビジンによりコーティングされたビーズ(1mg)に対して1mg/mLのビオチン化レクチンを400μL反応させた。反応させたレクチンビーズ10^8/mLを10^7cells/mLに調整した2種の海洋細菌Vibrio alginolyticus,Pseudomonas nauticaに添加して細胞の吸着回収率を検討した。同時にどのレクチンが海洋細菌に対して強い親和力を持つかをVibrio alginolyticusをモデル微生物として比較検討した。レクチンはConA,DBA,LCA,PHA-E4,PNA,RCA120,UEA-I,WGAを用いた。その結果小麦由来レクチンWGAが適当かと思われたので以後の実験にはレクチンとしてWGAを用いた。その後、微生物の吸着回収試験をWGAliganded beadsで数種の海洋細菌に対して繰り返し行い、ビーズの濃度、細胞の濃度、さらにビーズ:細胞比を検討したところ、細胞濃度は10^6cells/mL,ビーズ濃度は5x10^7particles/mL(ビーズ:細胞数=50:1)という条件を設定した。この条件でVibrio Fischeri,Photobacterium Phosphoreum,Deleya Marinaを用いた吸着実験を行った結果、VF、DM、PPでそれぞれ83%、76%、72%、の吸着率を得た。一方で、単糖N-acetyl glucosamineを添加しての細胞のビーズからの剥離率を検討したところDMでは20%であったのに対してPPでは5%、VFでは3%という低い値であった。グラム陰性菌ではこのビーズからの細胞の剥離率が低いというのは文献と一致するが、細胞の剥離に酵素処理を用いることも現在検討している。
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