日本農業の枠組みとも言える農地面積は、現在急速な減少局面にある。本研究では、このような農地賦存状況の新しい局面に直面して、あらためて農地転用の実態としての性格把握を課題とした。 本研究は、2ヵ年計画の初年度であったが、農地賦存をめぐる動向について整理した。まず、その前提として、既存の農地賦存を明らかにするデータについての検討を行った。主な対象としては、耕地面積統計および農業センサスであるが、これに農水省の農業生産基盤調査結果を踏まえて検討した。その上で、あらためて明らかになったのは、日本全体の総農地縮小段階への転換という事態である。農業センサスによれば、従来は農地造成を通じて、共通に農地面積の増加傾向にあった北海道、沖縄までもが、1995年以降は減少局面に入っているということである。また、耕地面積統計による1995年のわが国の耕地面積(沖縄県を除く)は、約499万haであるが、1960年の約607万haから、202万haもの耕地減少と96万haの耕地拡張の結果、現状に至っているということが判明した。 これらのことから、現在は、わが国の農業生産基盤をめぐる一大画期に入っているわけであるが、このことから、単に転用という耕地縮小局面のみならず、かつての農地拡大の実態も視野に入れて、総合的な農地変動を明らかにすることが、転用問題の解明の上でも重要であるという認識に至った。研究の2ヵ年めである翌年度においては、これらを踏まえた研究の広がりを計画している。
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