本研究は、青果物の産地における出荷団体が、各市場に向けて農産物を分荷する際に、リスクを押さえつつ販売金額を最大化する分荷方法の指標を示すシステムを開発することである。その特徴としては、最適化アルゴリズムに出荷先市場の需給構造を学習によって把握したフィードバックを取り入れた、ニューラルネットワーク(Neural Network)情報処理の理論を援用することと、これをパソコンにおけるWindowsのGUI環境で動作するプログラムとして開発することである。 このうち本年度の研究実績は大きく3つに分けられる。第一は、具体的なソフトの開発である。これについてはMS-DOS上のものであるが、最適化システムに相互結合型ニューラルネットワーク、市場構造の把握に階層型ニューラルネットワークを用いて、両者を組み合わせたシステムを開発し、妥当な分荷方法を示すことが可能であることが確認された。 第二に、ビジュアルプログラミングの検討であり、これについてはプログラミング言語であるC++をによるビジュアルプログラミング開発環境のC++Builder(Borland)を中心に検討を行ったが、この開発環境がシステム開発に適していることが明らかになった。そして、これを用いて他の最適化アルゴリズム(ジュネティックアルゴリズム)を援用したシステムを開発した。 第三は、本研究の研究内容を第23回国際農業経済学会において報告することである。これについては1997年8月にサクラメントにおいて開催された大会のContributed paperとして採択され、報告した。
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