今年度は、鹿児島市内に店舗をもつチェーンスーパーを対象に輸入青果物の調達構造について分析した。その結果、スーパーの規模と業態による仕入先の違い、すなわち、規模の大きいナショナルチェーンおよびリージョナルチェーンは輸入商社+直輸入、比較的規模の小さいローカルチェーンは卸売市場をそれぞれメインの仕入先としていること、またごく最近になって、大規模なスーパーを中心に、エリアないしは各店舗ごとに仕入れ等の権限をもたせる、いわゆる分権化の動きが顕著であり、国産青果物の仕入れを含めて、地元卸売市場の利用率が上昇していることなどが明らかとなった。 こうした成果を昨年度の調査研究ならびに国産青果物に関する流通分析をあわせて総合的に考察し、スーパーを典型とする大規模小売企業による流通再編の構造と論理を解明した。その要諦は以下の通りである。 小売企業は他社および専門小売店などとの競争上、差別化商品と価格競争の手段としての通常商品という重層的な品揃え戦略を採用しており、差別化商品については産地直結(輸入の場合には直輸入)を行い、排他的な調達を狙う。他方、通常商品については、低価格・低コストによる調達がポイントとなるため、卸売市場(輸入の場合には輸入商社も含む)の利用が中心となる。このように、現在の流通再編は小売企業の青果物調達システムの構築過程として理解されるのである。
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